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「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編」ネタバレ感想

ネタバレ注意!

本記事は4月17日発売の
響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編」及び
4月19日公開の映画「劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ」、
原作「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」、
及び「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話」
のネタバレを大いに含みます。未見・未読の方はご注意ください。
 
 
1周通読しただけの取り急ぎ感想です。
独自解釈や勘違いが多数含まれている可能性があります。
あくまでファーストインプレッションとして書き留めたものとして読んでください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こんな胸騒ぎが止まらないユーフォは初めてでした。全体を流れる不穏さ、恐怖は立華編以上だったかも。
不穏の種を蒔くだけ蒔いて、それらが全く回収されない恐ろしさ。
主要人物はほとんどオーディションに合格し、ソロも久美子の手に渡り、府大会は余裕の突破。なのに爽快感ではなく不気味さが先行するところに武田綾乃先生の雰囲気作りの巧みさを感じます。
ああ、北宇治高校の運命を握るのは「その日、朱音は空を飛んだ」の作者なんだな……。
 
 
 

○新生・北宇治高校吹奏楽部について

恐ろしいです。僕が初心者で入ってたら3日で逃げ出したと思います。
前年度の「妥協が積み重なった結果」の雪辱を果たすために序盤からフルスロットル状態ですが、代償として「実力が追いつけない人間」に対する風当たりが厳しい状態となってしまいました。一寸たりとも休む暇がありません。
沙里の「ゼロをプラスにするのは楽しいけど、マイナスをゼロにするのはとてもつらい」という台詞はまさにその通りだと思います。
物事への向き合い方が受動的な人間は特にそうです。
一生懸命やってるのにシバかれ続けるの、ツラいですよね。
結局沙里たち1年カルテットの問題として処理されましたが、肝心の「1年生の麗奈に対する不信感」はなあなあのまま解決されませんでした。
麗奈vs1年生という構図が生まれる危険性をはらんだまま物語が進むわけです。
麗奈に賛同する1年生もいることを勘案すると、1年生の中で賛同派vs反対派という対立が生まれてもおかしくありません。
 
やばない???????
 
 
 

○部長・黄前久美子について

ぼけっとした顔からしれっと他人の懐に潜り込む、高い人心掌握能力を図らずも持っていた久美子ですが、ついに自分から人間の心を操るようになりました。
沙里の承認欲求を満たして「刺さった」と確信するところとか田中あすかばりの策略家ですよ。ぞっとした。
多くの部員を手中に収め、部長としての手腕を発揮する一方、内面は以前よりも打たれ弱くなった印象を受けました。
黒江真由という存在により、久美子の立ち位置・居場所が脅かされ始めたことが原因かと思います。(次項参照)
 
 
 

○黒江真由について

絶対やべーだろこいつ。
不穏の種を最も多く蒔いた女。しかも悪気が全くない(ように見せている?)ところが怖すぎます。
一見気遣いができて柔和な人物ですが、「たかが部活」「私のせいでもし二人が落ちたら申し訳ない」など心の底では北宇治を舐めていることが透けて見えます(なんで受かる気まんまんやねんこいつ)。他部員と微妙な距離感があるのは偶然か策略か。
久石奏をヒリつかせまくってるのも気になる。
 
ところで、作者・武田綾乃先生はTwitterで今作の主題は「居場所と拠り所」であると仰っていました。
久美子目線で話が進む本作では、黒江真由は「久美子の居場所を脅かす存在」として大きく印象づけられていました。
久美子から見れば真由って自分の上位互換なんですよね。
超強豪校からやってきた、自分と同じ3年生。マイユーフォを持っていて(田中あすかと同じ型番なのが神経逆撫でしてくる)、演奏技術も高い。あと胸も大きい。焦燥感に駆られるには十分だと思います。
そもそも今までの久美子って騒動に巻き込まれはすれど、自分の居場所や拠り所が脅かされることって無かったんですよね。
あすか先輩を差し置けば北宇治で最も上手なユーフォニアム奏者でしたし、だからこそ麗奈にも認められている。低音パートの仲間たちもいる。
要は低音パートを自分の居場所に、麗奈の隣にいる自分を拠り所にしていたわけです。
 
それが黒江真由によって揺らごうとしている。
アンサンブルコンテストの際の「もしも自分より上手いユーフォが現れたら?」という懸念が現実になってしまったというわけです。
部長職に追われて低音パートに居られる時間が短くなってしまった久美子は、長らく安住の地であった低音パートにも居場所を見出だせなくなり始めてしまいました。
「自分がいなくとも低音パートは成立する」安全圏から見守るか助言することが多かった今まででは考えられなかった懸念です。
部長として北宇治を全国金賞へ導きたいという気持ちと、
自分の拠り所を失いたくないという一個人としての気持ち。
2つの感情が交錯する中で、「黒江真由は自分よりも高い演奏技術を持っているかもしれない」「麗奈と対等にソリを吹く自分の立ち位置が奪われるかもしれない」という疑念は、形を変えて顧問・滝への不信へと燻ぶり始めます。
 
そうきたか、と思わず唸ってしまった。
滝の中に演奏技術以外の評価項目があるなら、Aメンバー選考に(久美子も懸念していましたが)政治的な判断が存在する可能性も浮上してきます。その場合「Aに入りたいなら上手くなるしかない」(p.49)という北宇治の根底そのものが揺らぎかねません。
夏紀先輩が前年Aメンバー入りを果たしたのも、副部長が落選して士気が低下するのを避けるため…?とか思っちゃう。
さらには「後輩たちは3年生ほど滝先生を絶対視できない」という美玲からの忠告。
2年前のトランペットソロオーディションの騒動が再び巻き起こりかねません。
しかも、今度は久美子を当事者として。
 
やばない????????????????
人畜無害な顔してこれだけの火種を蒔き散らせるキャラクターなかなかいないですよ。
やっぱり綾乃は性格悪い(褒め言葉)
 
 

○プロローグはもしかして……?

ところで「決意の最終楽章 前編」のプロローグ、なんだか変だと思いませんでしたか?
「4人で写った写真」とか「先生、」とか、地の文や台詞に個人名が一切出てこないんですよね。
 
もしかしてこれ、滝先生視点と思わせといて実は7年後の黄前久美子先生じゃない?????
こういうの何て呼べばいいんだろう。ミスリーディング?叙述トリック
小説技法に詳しい人おしえて。
 
 

○そのほか思ったこと(箇条書き)

・剣崎のあだ名りりりんが1年生に普及してて笑った。よかったね。
・佐々木梓部長は案の定王国を築いてる様子。あの女……
・「子どものころの私は、大人になったら勝手に立派な人間になれると思い込んでいた。でもいまの自分は子どものころの延長線上にあった」(一部略)分かりすぎて吠えた。
・釜屋すずめの「おっはよーございます!」が中野四葉でしか再生されない。
・久石奏が「久美子センパイ」と呼ぶのを見て頭の中がHoneyworks meets TrySail一色になった。
・第二楽章で大好きになった小日向夢ちゃんがほとんど出なくてツラすぎる……。
田中あすかのカードはどこで切られるのか。SHIROBAKOの矢野さん復帰みたいなタイミングで出てきてほしい。
 ・あのエピローグはなに????????????????
麗奈と秀一が仲違いしたらそれこそ分裂だで……

まだまだたくさんあるけどこの辺にしておきます。
 
 
○さいごに
黒江真由の乳でボタンがはち切れんとするシーンでおっきしちゃった……。